A型事業所の給料で一人暮らしは可能?生活費シミュレーション
はじめに就労継続支援A型事業所(A型)への利用を検討する方の多くが抱える大きな疑問の一つが、「A型事業所の給料(雇用契約に基づく給与)だけで一人暮らしはできるのか?」という現実的な問題です。経済的な自立は、働くモチベーションの重要な源です。
このコラムでは、A型事業所の平均給与を基に、一般的な一人暮らしに必要な生活費の内訳をシミュレーションし、実現の可能性を検証します。また、一人暮らしを成功させるための収入アップの戦略や、福祉制度の活用についても解説します。ディヤーナ松本などの事業所をご利用の方が、具体的な生活設計を立てるための参考にしてください。
目次
1. A型事業所の平均給与と手取り額の目安
A型事業所の給与は最低賃金が保証されていますが、多くの場合、体調を考慮して短時間勤務となるため、一般企業より月収は低くなります。
① 平均月額給与の現状
厚生労働省の令和4年度の統計によると、全国のA型事業所の平均月額賃金は83,551円です。
- 要因: 多くのA型事業所が週20時間~30時間程度の短時間勤務を設定していることが、平均額が低くなる主な理由です。
② 手取り額の目安
平均月額給与から、社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険)や所得税、住民税が控除されます。
| 項目 | 平均給与(目安) | 控除額(概算) | 手取り額(目安) |
|---|---|---|---|
| 月収 | 83,551円 | 約10,000円~15,000円 | 約68,000円~73,000円 |
注意点: 社会保険に加入しない短時間勤務の場合、控除額は少なくなりますが、将来的な年金や傷病手当の保障も少なくなります。
2. 一人暮らしの生活費シミュレーション(必須項目)
総務省の家計調査や一般的な賃貸相場に基づき、都市部から離れた地域での最低限の一人暮らしにかかる月々の生活費をシミュレーションします。
| 支出項目 | 金額の目安(円) | 備考 |
|---|---|---|
| 家賃 | 40,000円~50,000円 | 地方都市での単身向けアパートの目安 |
| 食費 | 30,000円 | 自炊を中心とした最低限の食費 |
| 光熱費・水道代 | 8,000円 | 電気、ガス、水道の合計 |
| 通信費 | 5,000円 | 格安SIMなど最低限の通信費 |
| 雑費・日用品 | 5,000円 | 洗剤、トイレットペーパーなど |
| 合計 | 88,000円~98,000円 |
3. 給与だけで生活費を賄えるかの検証
現状の給与(手取り7万円前後)と、シミュレーションした最低生活費を比較します。
| 項目 | 手取り額の目安 | 最低生活費の目安 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 金額 | 約70,000円 | 約90,000円 | 約-20,000円 |
結論として、A型事業所の平均給与(約7万円)だけで、単身で一人暮らしの生活費(約9万円)を賄うのは、現状では非常に厳しいと言えます。家賃が極端に安い地域や、実家の一部を利用できる場合を除き、毎月2万円程度の不足が生じる可能性が高いです。
4. 一人暮らしを可能にするための収入アップ戦略
A型事業所の給与に加えて、以下の収入源や制度を活用することで、一人暮らしの実現は可能です。
① 福祉制度による「収入の底上げ」
最も現実的で安定した解決策は、福祉制度を併用することです。
- 障害年金の活用: 障害の状態により、障害年金(障害基礎年金1級・2級、または障害厚生年金)を受給している場合、この年金収入を生活費に充当できます。A型事業所の給与(労働収入)との併用は原則可能です。
- 生活保護の併用(収入認定): 地域によって異なりますが、給与収入が生活保護基準額を下回る場合、その不足分が生活保護費として支給される可能性があります。
② 勤務時間・給与の向上を目指す
ディヤーナ松本などのA型事業所で安定就労を続けた後、以下の方法で収入向上を目指します。
- 勤務時間の延長: 体調が安定したら、職員と相談し、週の勤務時間を30時間以上に増やすことで、給与総額を上げます。
- 昇給制度の活用: A型事業所の評価制度を活用し、スキルや貢献度に応じて時給をアップさせます。
③ 家賃の安い物件を選ぶ
生活費の大部分を占める家賃を極限まで抑えることが重要です。自治体の公営住宅や、住宅扶助(生活保護の住宅費)の利用も検討します。
5. Q&A:一人暮らしに関するよくある質問
- Q1. 障害年金とA型の給与を併用すると、年金は減額されますか?
- A. 原則として、障害年金自体が減額されることはありません。ただし、生活保護を受給している場合は、給与収入分だけ保護費が減額されます。
- Q2. A型事業所の職員は、一人暮らしの相談に乗ってくれますか?
- A. 積極的に相談に乗ります。職員は、個別支援計画に基づき、収入と支出のシミュレーション、福祉制度の紹介、住居に関する情報提供などのサポートを行います。
- Q3. A型事業所の給料だけでは生活保護は受けられませんか?
- A. 受けられる可能性があります。お住まいの地域の最低生活費(家賃、生活費など)と、A型事業所の給与収入を比較し、不足分がある場合は、生活保護の対象となる可能性があります。
6. まとめ:計画と福祉制度の活用が鍵
就労継続支援A型事業所の給与だけで一人暮らしを賄うのは、現在の平均給与水準では難しいのが現状です。しかし、「不可能」ではありません。一人暮らしを実現するためには、障害年金や生活保護といった福祉制度を組み合わせた計画的な収入戦略が不可欠です。また、A型事業所で安定就労を続け、勤務時間や時給を上げる努力も重要です。
ディヤーナ松本では、あなたの体調と経済状況を考慮した最適な生活設計を、職員が一緒に考えます。一人暮らしという目標に向けて、まずは職員にご相談ください。

