雇用契約書がないとどうなる?契約書がない場合の注意点

2026.04.12

雇用契約書がないとどうなる?契約書がない場合の注意点

はじめに就労継続支援A型事業所(A型)を利用する際、利用者様は必ず事業所と雇用契約を結びます。しかし、「口頭での合意だけで働き始めた」「契約書をもらっていない」というケースもあるかもしれません。

雇用契約書がない場合でも、雇用契約自体は成立していますが、労働条件や給与に関する重大なトラブルの原因となる可能性があります。A型事業所での安定就労を確実にするためにも、書面での確認は不可欠です。

このコラムでは、雇用契約書がない場合の法的なリスクと、利用者様が雇用契約書(または労働条件通知書)がない場合に取るべき具体的な対処法について解説します。

目次

1. 雇用契約書がない場合の法的なリスク

雇用契約は、口頭の合意だけでも成立しますが、労働基準法は使用者(A型事業所)に対し、特定の労働条件を書面で明示することを義務付けています。契約書がないことで、以下のリスクが生じます。

リスク①:労働条件の「言った言わない」問題

雇用契約書がない場合、給与(時給)、労働時間、休日、契約期間といった最も重要な労働条件について、後から事業所と利用者様の間で認識の相違が生じる可能性があります。

  • : 「昇給の約束」や「有給休暇の取得条件」など、細部について書面がないと、権利の証明ができません。

リスク②:給与計算や解雇の基準が不明確に

給与の計算方法や、万が一の際の解雇(雇用契約の解除)に関する規定が不明確になり、就業規則の適用範囲が曖昧になります。

  • 法的義務の不履行: 事業所が労働条件通知書を交付していない場合、それは労働基準法違反です。

2. 労働基準法が義務付ける「書面交付」の項目

雇用契約書がない場合でも、事業所は労働基準法に基づき、「労働条件通知書」という形で以下の絶対的明示事項を書面で交付する義務があります。

義務付けられている明示事項(抜粋) 契約書がない場合に生じる問題
① 契約期間 契約更新の有無や基準が不明確になり、雇い止めのリスクが高まる。
② 就業の場所と業務内容 合理的配慮が必要な業務内容や環境が口約束になる。
③ 始業・終業時刻、休憩、休日 残業代(時間外手当)の計算や、有給休暇の付与日数の根拠が不明になる。
④ 賃金の決定・計算・支払方法 時給や昇給の額、通勤手当の支給規定でトラブルになる。
⑤ 退職に関する事項 解雇の基準や退職時の手続きが不明確になり、退職時に混乱が生じる。

3. 雇用契約書がない場合の具体的な対処法

A型事業所から雇用契約書や労働条件通知書を受け取っていない場合は、以下のステップで対応してください。

ステップ①:速やかに事業所の職員に依頼する

生活支援員または経理・総務担当の職員に対し、速やかに「労働条件通知書(または雇用契約書)の書面での交付」を依頼してください。

  • 伝え方: 「給与や有給休暇の計算根拠を確認したいので、労働基準法に基づいて書面を交付してほしい」と明確に伝えましょう。

ステップ②:交付された書面を徹底的にチェックする

書面を受け取ったら、以下の重要項目を労働基準法や就業規則に照らしてチェックし、疑問点がないか確認してください。

  • 給与: 時給が地域の最低賃金以上か。通勤手当の規定は明確か。
  • 労働時間: ご自身の個別支援計画に基づいた勤務時間(始業・終業・休憩)が記載されているか。
  • 社会保険: 社会保険の加入要件を満たしている場合、加入義務が明記されているか。

ステップ③:外部の専門機関に相談する

事業所に依頼しても書面を交付してもらえない、あるいは交付された書面の内容が事前の説明と大きく異なり不安がある場合は、以下の外部機関に相談してください。

  • 労働基準監督署: 労働基準法違反の事実を伝え、指導を要請できます。
  • 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ): A型事業所の雇用問題に詳しく、間に入っての調整を依頼できます。

4. まとめ:書面での確認が「安定就労」を守る

就労継続支援A型事業所での雇用契約書(または労働条件通知書)は、あなたの給与、労働時間、法的権利を守るために不可欠な証拠です。

契約書がない状態での就労は、法的なリスクを伴います。A型事業所での安定就労を確実にするためにも、必ず事業所の職員に書面での交付を依頼し、その内容に納得した上で、安心して働くようにしましょう。

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