就労継続支援A型事業所(A型)の面接に向けて準備を進める中で、「障害者手帳の等級は正直に伝えたほうがいいのだろうか?」「等級が重いと不採用になってしまうのではないか?」と不安に感じる方は少なくありません。
結論から申し上げますと、面接では手帳の等級とその詳細な特性を正直に伝えるべきです。A型事業所において等級を確認する理由は、あなたを評価して落とすためでも、過去の辛い失敗を詮索するためでもありません。
ディヤーナ松本では、「過去の失敗はすべて水に流し、いま目の前のあなたを見る」という方針を徹底しています。等級をお伺いするのは、あなたがこれからの職場で安心・安全に働き、雇用契約に基づく毎月の給料を安定して得るための「適切なサポート(合理的配慮)」を準備するためです。
このコラムでは、面接で障害者手帳の等級を伝えることの重要性と、等級が就労時の配慮にどう結びつくのか、そして前向きな伝え方のコツを解説します。
1. なぜ面接で「等級」を伝えるべきなのか?
A型事業所の面接で手帳の種類(身体・療育・精神)や等級を伝えることには、法的な前提と、あなた自身を守るための重要な意味があります。
① 雇用と福祉サービス利用の必須要件
就労継続支援A型は、障害福祉サービスを利用しながら企業と雇用契約を結ぶ制度です。そのため、手帳の有無や等級は、サービス受給の手続きや行政への申請において正確に把握しておく必要がある基本情報となります。
② 「等級による不採用」は存在しない
事業所側は、「等級が2級だから厳しい」「3級だから採用する」といった表面的な数字だけで合否を判断することはありません。
大切なのは、「その等級が示す特性に対して、事業所側が安全かつ適切な環境を用意できるか(マッチング)」です。隠したまま入社してしまうと、必要な支援が受けられず、結果的に体調を崩して早期離職に繋がるという、最も避けたい事態を招いてしまいます。
2. 等級と「合理的配慮」の重要な関係
手帳の等級は、あなたが職場でどのようなサポート(合理的配慮)を必要としているかを知るための「客観的な道しるべ」となります。
| 障害の種別・特性 | 面接で確認したいこと | 事業所が提供できる配慮の例 |
|---|---|---|
| 身体障害 | 業務中の姿勢保持、移動の制限、疲労の蓄積度合い。 | 完全座り作業への配置、階段を使わない動線の確保、高さ調整可能な椅子の導入。 |
| 精神・発達障害 | 対人関係のストレス耐性、感覚過敏の有無、集中力の持続時間。 | イヤーマフの着用許可、パーテーションによる視覚刺激の遮断、細かな休憩(ポモドーロ法)の導入。 |
| 知的障害 | 指示の理解ペース、読み書きの得意・不得意。 | 写真や図解を用いた視覚的マニュアルの作成、口頭とメモの併用による指示の徹底。 |
過去を問うのではなく、未来の環境をデザインする
「前職でどんな失敗をしたか」を責めるために等級や特性を聞くのではありません。過去に合わなかった環境と同じ間違いを職場で繰り返さないために、「いま、私たちがあなたにどんな環境を用意すれば才能を発揮できるか」を共に考えるための重要な情報共有なのです。
3. 面接で等級と特性を「前向き」に伝えるコツ
面接では、単に「〇級です」と数字を伝えるだけでなく、自己管理の意識とセットで伝えることで、プロとしての高い責任感(就労意欲)をアピールできます。
① 「自分の特性(困りごと)」を具体的に言語化する
等級の数字よりも、実際の業務で直面するであろう困りごとを具体的に伝えます。
伝え方の例: 「精神障害の3級です。特定の大きな音に敏感な感覚過敏があるため、周囲が騒がしいと集中力が途切れやすくなるという特性を持っています。」
② 「自己対処」と「事業所へのお願い」をセットにする
すべてを事業所に丸投げするのではなく、「自分でやっている対策」と「職場にお願いしたい配慮」を分けて伝えることで、自律した労働者としての信頼感を与えます。
【理想的な回答フレーズ】
「現在は主治医の指導のもと服薬を徹底しており、日常生活は安定しています(自己対処)。ただ、長時間の立ち作業は身体への負担が大きいため、定期的に座って行える業務を織り交ぜていただくか、こまめな小休止を許可していただけると(事業所への配慮願い)、安定した品質で長く業務に貢献できると考えています。」
4. まとめ:等級の共有は「新しいスタート」の土台
就労継続支援A型事業所の面接において、障害者手帳の等級を伝えることは、決してマイナス評価に繋がるものではありません。むしろ、事業所とあなたが深い信頼関係を築き、無理のない安定した就労環境を整えるための最も重要な「新しいスタートの土台」となります。
ディヤーナ松本は、あなたの過去の失敗や挫折を一切詮索しません。手帳の等級や特性を前向きに共有していただき、あなたがいま持っている力を最大限に発揮できる働き方を一緒に見つけていきましょう。

