障害福祉サービスの自己負担額の計算方法と上限

2026.02.19

障害福祉サービスの自己負担額の計算方法と上限

はじめに就労継続支援A型事業所(A型)をはじめとする障害福祉サービスを利用する際、費用負担について不安を感じる方は少なくありません。多くのサービスは国や自治体の公費で賄われていますが、利用者様にも自己負担額が発生する場合があります。

「A型事業所の利用料はいくらかかるの?」「自己負担額の上限はどのように決まるのだろう?」

このコラムでは、障害福祉サービスの自己負担額の基本的な計算方法と、経済的な不安なくサービスを利用できるよう定められている月額上限制度について詳しく解説します。費用に関する不安を解消し、安心して安定就労を目指すための参考にしてください。


目次


1. 障害福祉サービスの費用負担の基本原則

障害福祉サービス(居宅介護、短期入所、就労継続支援など)の費用は、原則として以下の割合で賄われています。

① サービス費用の原則1割が自己負担

障害福祉サービスの費用総額は、原則として9割が国や自治体の公費で賄われ、残り1割が利用者様の自己負担となります。例えば、1ヶ月のサービス費用の総額が10万円だった場合、利用者様の負担額は1万円(1割)となります。

② 自己負担が発生しないケースが多い

ただし、この1割の自己負担額を支払う必要がある方は、実際には限られています。ほとんどのA型事業所利用者は、次に説明する「月額負担上限額」の仕組みにより、自己負担なし(無料)でサービスを利用できています。


2. 自己負担額を決定する「月額負担上限額」制度

障害福祉サービスには、利用者の所得に応じて1ヶ月に支払う自己負担額に「上限」が設定されています。これにより、サービスをどれだけ多く利用しても、家計が破綻しないように保護されます。

所得区分による負担上限額

自己負担の月額上限額は、利用者本人と配偶者の所得(市町村民税の課税状況)に基づいて、以下の4つの区分に分けられます。

世帯の考え方は、18歳以上の場合、本人と配偶者のみを対象とし、親の所得は原則として影響しません。

区分 所得状況の目安 1ヶ月の自己負担上限額
生活保護 生活保護受給世帯 0円(無料)
低所得 市町村民税非課税世帯(年収約200万円以下) 0円(無料)
一般1(中間所得) 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満) 4,600円
一般2(高所得) 上記以外の世帯(所得割16万円以上) 37,200円

A型事業所利用者の実態
就労継続支援A型事業所の利用者は、多くの場合、短時間勤務や給与水準から「低所得」または「生活保護」の区分に該当します。このため、月額負担上限額が0円となり、自己負担なし(無料)でA型事業所を利用できているケースがほとんどです。


3. 自己負担額の計算プロセス

実際の自己負担額は、以下のプロセスを経て決定されます。

  • Step 1: サービス費総額の算出
    利用者が1ヶ月に利用したサービス費用の総額を計算します。
    例:A型事業所を20日間利用し、1日あたりの費用が5,000円の場合、総額は100,000円。
  • Step 2: 1割負担額の算出
    総額の1割を算出します。
    例:100,000円 $\times 10\% = 10,000$円(原則の自己負担額)
  • Step 3: 上限額との比較
    算出された1割負担額と、所得区分に基づく月額上限額を比較します。
    • ケースA(低所得区分): 上限額が0円の場合、自己負担額は0円
    • ケースB(一般1区分): 上限額が4,600円の場合、1割負担額の10,000円は上限を超えているため、自己負担額は4,600円

つまり、実際に請求されるのは、「1割負担額」と「月額上限額」のうちいずれか低い方の金額となります。


4. その他に発生する可能性のある費用

自己負担額が無料であっても、以下の費用については実費負担となる可能性があります。

① 食費・光熱水費

A型事業所での昼食代や、サービス利用中に発生する光熱水費の一部を、事業所の運営規定に基づき実費として徴収する場合があります。これはサービス費とは別枠です。

② 送迎サービスの実費

送迎サービス自体は原則無料ですが、事業所が任意で定めている場合、送迎にかかるガソリン代や高速料金などの実費を徴収されることがあります。

これらの実費徴収の有無や金額は、事業所によって異なりますので、契約前に必ず「重要事項説明書」で確認しましょう。


5. Q&A:費用に関するよくある質問

Q1. A型事業所の給与は、自己負担額の所得に影響しますか?
A. 影響します。A型事業所の給与は、所得区分の判定に必要な市町村民税の課税対象となるため、給与が増えると所得区分が上がり、上限額が変わる可能性があります。
Q2. 障害年金も所得に含まれますか?
A. いいえ、含まれません。障害年金は非課税所得であるため、所得区分の判定には含まれません。
Q3. 月額上限額の判定は、毎年行われますか?
A. はい。毎年6月~7月頃に、前年の所得に基づいて所得区分の見直しが行われ、新しい受給者証に記載されます。

6. まとめ:経済的な不安なくサービスを利用するために

就労継続支援A型事業所における自己負担額の計算は、「1割負担」と「所得に応じた月額上限額」を比較することで決まります。ほとんどのA型事業所利用者は月額上限額が0円となるため、サービス利用料は無料です。

経済的な不安なく雇用契約に基づく安定就労を続けるために、ご自身の所得区分と、実費徴収される項目について、事前にA型事業所の職員にご確認ください。

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