統合失調症を持つ方の体力づくり:無理のないホテル業務活用法

2026.07.16

はじめに、統合失調症を持つ方が就労継続支援A型事業所(A型)で安定就労を続ける上で、体力づくりは非常に重要な課題です。

病状の影響で意欲や活動量が低下し、易疲労性(疲れやすさ)を感じやすくなるため、雇用契約に基づく給与の安定のためにも、無理のない段階的な体力回復が必要です。A型事業所のホテル清掃業務は、この体力づくりに非常に適した業務です。

このコラムでは、統合失調症を持つ方の特性を理解した上で、ホテル業務を通じて無理なく体力づくりを進める具体的な活用法と、合理的配慮について解説します。

1. 統合失調症と体力づくりの課題

統合失調症の症状や治療薬の影響で、体力づくりには特有の配慮が必要です。

① 課題:意欲と疲労のコントロール

  • 意欲低下:運動や活動の開始に強いエネルギーが必要となり、行動を起こすことが困難になることがあります。
  • 易疲労性:健常者よりも早い段階で疲労を感じるため、無理な運動は病状の悪化や再発のリスクを高めます。

ホテル業務が適している理由

ホテル清掃は、「移動」と「作業」が一体化しています。これは、「運動」と意識せずとも、業務遂行の過程で自然と体力づくりができるため、意欲低下がある方にとって非常に取り組みやすい環境です。

2. ホテル業務を活用した「無理のない体力づくり」の具体策

ディヤーナ松本などのA型事業所では、ホテル業務を個別支援計画に基づき活用することで、身体的負荷をコントロールします。

① 「スモールスタート」と段階的負荷調整

最初は客室の清掃数や業務時間を最小限に設定します。体調の安定を確認しながら、週単位で無理なく負荷を上げていきます。生活支援員が疲労のサイン(作業スピードの低下など)をモニタリングし、適宜調整を行います。

② 身体的な負担の分散(業務のローテーション)

負荷の異なる作業を組み合わせ、疲労の蓄積を分散させます。

  • 例:負荷の高い「ベッドメイク」の後に、負荷の低い「備品補充」や「タオル検品」を組み込む。

③ 正しい「体の使い方」の習得

腰や関節に負担をかけないボディメカニクスを習得します。

  • 膝を曲げて低い姿勢を取る。
  • 重いものを体に密着させて運ぶ。

これにより怪我のリスクを減らし、長期的な安定就労の基盤を築きます。

3. 体力づくりの成功が「給与」と「自立」に繋がる理由

ホテル業務を通じた体力づくりは、あなたの雇用契約と経済的な安定に直結します。

① 欠勤リスクの減少と給与の安定

体力が向上し、易疲労性が軽減されると、出勤が安定します。安定就労は、A型事業所での給与を確保し、契約更新を確実にするための最重要課題です。

② 自己肯定感と意欲の向上

「体力が回復している」「成長している」という客観的な実績は、自己肯定感を回復させ、働く意欲の向上に繋がります。これが一般就労を目指すための土台となります。

4. まとめ:体力づくりは「リハビリ」ではなく「業務」として

統合失調症を持つ方の体力づくりは、「運動」として意識するのではなく、ホテル清掃を「業務」として組み込むことが、無理なく継続するための鍵です。

個別支援計画に基づき、生活支援員と協力しながら段階的に負荷を調整し、雇用契約のもと給与を得ながら、安定した生活と就労の基盤を築きましょう。

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