扶養に入りながらA型事業所で働く際の年収制限

2026.02.18

扶養に入りながらA型事業所で働く際の年収制限

はじめに就労継続支援A型事業所(A型)での勤務は、雇用契約に基づき給与を得て経済的な自立を目指す第一歩です。しかし、親や配偶者の扶養に入っている方は、「給料が増えると扶養から外れてしまうのではないか?」「扶養から外れると、かえって世帯全体の負担が増えるのでは?」という不安を抱えることがあります。

A型事業所の給与収入は、一般のアルバイト収入と同様に、税法上・社会保険上の「扶養の壁」の対象となります。

このコラムでは、A型事業所の利用者が扶養を維持するために知っておくべき年収の制限額と、扶養から外れることによるメリット・デメリットを明確に解説します。ディヤーナ松本などの事業所をご利用の方が、安心して働き方を選択するための参考にしてください。


目次


1. 扶養には2種類ある:税法上の扶養と社会保険上の扶養

A型事業所の給与収入が影響する扶養には、「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があり、それぞれ制限額と影響が異なります。

扶養の種類 目的 年収制限額(目安) 外れることの影響
税法上の扶養 扶養者が税金の控除を受けるため 103万円 扶養者の税金負担が増える
社会保険上の扶養 扶養者が加入する健康保険・年金に無料で加入するため 130万円(※) 自分で健康保険料・年金保険料を支払う必要がある

※ 60歳以上または障害年金受給者は180万円が壁となる場合があります。


2. 税法上の扶養の壁:「103万円の壁」の注意点

A型事業所の給与収入(総支給額)が年間103万円を超えると、扶養者(親や配偶者)は「扶養控除」を受けられなくなり、その結果、扶養者の所得税や住民税の負担が増加します。

① 給与収入「103万円」の内訳

この「103万円」は、以下の控除額の合計です。

  • 給与所得控除: 55万円(給与所得者全員が適用)
  • 基礎控除: 48万円(所得者全員が適用)
  • 合計: 55万円 + 48万円 = 103万円

この合計額が、非課税となる最低ラインです。A型事業所の給与収入が103万円を超えると、扶養者への税制上の影響が生じ始めます。

② 障害者控除の活用(重要な特例)

障害者手帳を持っているなど、税法上の「障害者」に該当する場合、「障害者控除」が適用されます。この控除は、103万円の壁とは別枠で控除されるため、実質的に年間103万円を超えても扶養控除を受けられる可能性があります。

これは、A型事業所の利用者にとって非常に有利な制度です。詳細は税理士または税務署に確認が必要です。


3. 社会保険上の扶養の壁:「130万円の壁」の仕組み

年間収入が130万円(障害年金受給者は180万円)以上になると、扶養者の健康保険・厚生年金の被扶養者から外れ、ご自身で社会保険に加入し、保険料を支払う義務が発生します。

① 収入130万円を超えたときの影響

  • 自分で加入: 国民健康保険・国民年金、または勤め先(A型事業所または転職先)の社会保険に加入することになります。
  • 手取りの減少: 保険料の自己負担額(給与から控除)が大きく発生するため、年収が130万円を少し超えた程度では、かえって手取り額が減る「逆転現象」が起こります。

② A型事業所での社会保険加入

A型事業所で週20時間以上などの要件を満たした場合、A型事業所の社会保険に加入できます。給与から保険料が控除されますが、将来の年金受給額が増える、傷病手当金の保障が得られるなど、長期的なメリットもあります。


4. A型事業所での働き方を選ぶためのシミュレーション

扶養内で働くか、扶養を外れて本格的に収入アップを目指すかの判断は、世帯全体の収入と保障を考慮して行う必要があります。

働き方の選択 メリット デメリット
扶養内(年収103万円未満) 扶養者の税金優遇が維持され、世帯全体の負担が少ない。 A型事業所での勤務時間や給与アップに制限がかかる。
扶養外(年収130万円以上) 給与収入を最大限に増やせる。将来の年金受給額が増える。 保険料負担が自己負担となり、年収が大幅に増えないと手取りが増えにくい。

5. Q&A:扶養と収入に関するよくある質問

Q1. 障害年金も年収制限の130万円に含まれますか?
A. 含まれません。障害年金や遺族年金は、非課税所得であるため、130万円(180万円)の壁の計算には含まれません。A型事業所の給与のみで判断します。
Q2. 103万円を超えてしまったら、どうすればいいですか?
A. 焦らず職員に相談してください。扶養者の職場に相談し、障害者控除の適用漏れがないか確認しましょう。また、翌年度の勤務時間を調整する必要があります。
Q3. A型事業所の給与は非課税になりますか?
A. いいえ、非課税にはなりません。A型事業所の給与は「雇用契約に基づく給与所得」であるため、課税対象です。通勤手当など、一部の手当は非課税になる場合があります。

6. まとめ:世帯全体で最適な働き方を選ぶ

就労継続支援A型事業所での勤務は、雇用契約に基づき、あなたの経済的な自立を支えます。しかし、扶養内で働く場合は、「103万円」「130万円(180万円)」の壁を意識した計画的な働き方が必要です。

障害者控除の活用や、保険料負担と将来の保障のバランスを考慮し、世帯全体で最もメリットの大きい働き方を選択しましょう。ディヤーナ松本の職員は、あなたの収入目標と扶養状況を把握し、最適な勤務時間を提案するサポートを行います。扶養に関する具体的なシミュレーションやご相談は、職員にお気軽にお尋ねください。

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