就労継続支援A型事業所(A型)と就労移行支援事業所は、どちらも障害を持つ方の就労を支援するサービスですが、その目的と位置づけが根本的に異なります。この違いから、両方のサービスを同時に(併行して)利用することは原則としてできません。
しかし、これはキャリアの選択肢がないという意味ではありません。両者の特性を理解することで、段階的にサービスを切り替え、効果的にキャリアアップを目指すことが可能です。
このコラムでは、両サービスの併用の可否と、あなたの安定就労に向けた最適なキャリア設計について解説します。
1. 就労移行支援とA型事業所の決定的な違い
両サービスは、障害者総合支援法に基づく支援ですが、その性格は大きく異なります。
| 項目 | 就労移行支援事業所 | 就労継続支援A型事業所 |
|---|---|---|
| 目的 | 一般就労に向けた訓練、スキル習得、体調管理 | 雇用契約に基づく就労機会の提供、安定収入の確保 |
| 契約形態 | 非雇用(訓練) | 雇用契約(労働者) |
| 収入 | 原則なし(交通費等の補助のみ) | 給与(最低賃金以上が保証) |
| 利用期間 | 原則2年間(延長は可能だが期限あり) | 期限なし(雇用契約の更新による) |
併用が原則不可能な理由
就労移行支援は「訓練」、A型事業所は「雇用」であり、目的が異なります。利用者は一つのサービスを通じて集中的に就労を目指すことが原則であり、サービスを同時に利用することはできません。
2. 最適なキャリア設計:段階的な利用の選択肢
併用はできませんが、キャリアの目標や体調に合わせて「就労移行支援 → A型事業所」または「A型事業所 → 一般就労」といった段階的な移行が可能です。
① 【初期段階】就労移行支援が適しているケース
対象: 長期間のブランクがあり、基礎的な体力や生活リズムの回復から始めたい方。具体的なスキル(PCスキルなど)を一から学びたい方。
メリット: 期限があるため、集中して訓練に取り組めます。サービス利用中の収入がないため、失業保険や障害年金といった他の収入源を準備する必要があります。
② 【実践段階】A型事業所が適しているケース
対象: 移行支援で基本的なスキルは習成したが、すぐに一般就労するのは不安な方。安定した給与と職務経歴を積みながら、次のステップを探したい方。
メリット: 給与を得ながら雇用契約に基づき働くことで、職務経歴を積み、安定性を証明できます。ディヤーナ松本などのA型事業所での実績は、一般就労への強力な武器となります。
移行の流れ:「就労移行支援 → A型事業所」
就労移行支援の期間中に一般就労への移行が難しいと判断された場合、就労移行支援事業所の支援員と連携し、自治体にサービスの種類変更を申請することで、A型事業所へ移行できます。この流れは、非常に計画的でリスクの少ないキャリアパスです。
3. サービス変更に必要な手続きと職員のサポート
サービスを移行する際は、自治体への申請と個別支援計画の見直しが必要です。
必要な手続き
就労移行支援からA型事業所へ切り替える場合、以下の手続きが必要です。
相談支援専門員への相談: サービス変更の意向を伝え、「サービス等利用計画案」を作成してもらいます。
自治体への申請: お住まいの市区町村役場の障害福祉窓口に、「就労継続支援A型」へのサービス変更を申請します。
審査と受給者証の再交付: 審査後、新しいサービスが記載された「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。
職員のサポート(合理的配慮)
サービス管理責任者(サビ管)は、あなたの就労移行支援での訓練内容を踏まえ、A型事業所で必要な合理的配慮(例:PC業務、静かな環境など)を個別支援計画に反映させます。これにより、訓練で得たスキルをスムーズにA型事業所での安定就労に繋げることができます。
4. まとめ:併用不可だが「計画的なステップ」は可能
就労移行支援とA型事業所の同時併用はできませんが、「訓練(移行支援)→ 実践と安定(A型)」という段階的な移行は、最も確実なキャリアアップの道筋となります。
雇用契約に基づくA型事業所の安定性を活用し、ご自身の体調と目標に合わせてサービスを選択・移行することで、不安なく一般就労という目標達成を目指しましょう。

