家族の扶養から外れると損?A型事業所の給与と扶養の壁

2026.03.09

家族の扶養から外れると損?A型事業所の給与と扶養の壁

はじめに就労継続支援A型事業所(A型)で働くことは、給与という労働の対価を得て、経済的な自立を目指す重要な一歩です。しかし、安定的に収入を得るようになると、ご家族の「扶養」から外れるかどうかの問題が浮上します。特に、ご自身のA型給与が、税制や社会保険で定められた「扶養の壁」を超えると、ご家族の税負担が増えたり、ご自身の保険料負担が発生したりするため、「損になるのでは?」と不安に感じる方も少なくありません。

このコラムでは、A型事業所の給与と障害年金が扶養の壁にどう影響するのか、そして扶養から外れることが本当に「損」なのかについて解説します。


目次


1. 扶養の壁とは?A型給与が関わる2つの壁

「扶養の壁」には、主に税金に関わるものと社会保険に関わるものの2種類があります。A型事業所の給与所得は、これらの壁の計算に影響します。

① 税法上の壁(103万円の壁)

これは、主に扶養しているご家族(納税者)に関わる壁です。

項目 基準額 影響
扶養控除 年間の給与収入が103万円以下 ご家族は所得税の扶養控除(38万円~63万円)を受けられます。A型事業所の給与収入が103万円を超えると、ご家族は扶養控除を受けられなくなり、その結果、ご家族が支払う所得税や住民税が増額します。

② 社会保険上の壁(130万円の壁)

これは、主にA型事業所の利用者ご本人の社会保険(健康保険・国民年金)に関わる壁です。

項目 基準額 影響
社会保険の扶養 年間の給与収入が130万円未満 ご家族の健康保険の扶養に入り続けられ、ご自身で健康保険料や国民年金保険料を支払う必要がありません。
年間の給与収入が130万円以上 ご家族の扶養から外れ、ご自身で健康保険や年金に加入し、保険料を支払う義務が発生します。

2. 障害年金は「壁の計算」に含まれるか?

A型事業所を利用する方が重要なのは、障害年金がこれらの壁の計算に含まれないという点です。

収入の種類 103万円の壁(税法) 130万円の壁(社会保険)
A型事業所の給与 含まれる(給与所得のため) 含まれる(給与所得のため)
障害年金 含まれない(非課税所得のため) 含まれない(非課税所得のため)

障害年金は、非課税所得であり、労働の対価である給与所得とは性質が異なるため、これらの「壁」の年収計算には算入されません。例えば、A型給与が120万円、障害年金が100万円の場合、壁の計算に使う収入は120万円のみとなります。


3. 扶養から外れると「損」なのか?

扶養から外れることによる短期的な負担増は避けられませんが、長期的な視点で見ると「損ではない」と考えることができます。

長期的なメリット(自立と保障)

項目 扶養内(130万円未満) 扶養外(130万円以上)
健康保険・年金 ご家族の扶養に依存 ご自身で加入(厚生年金・健康保険)
将来の年金 国民年金のみ(または免除) 厚生年金に加入し、将来の年金受給額が増える
傷病手当金 原則受給できない 給与の3分の2の傷病手当金を受けられる(※)

※A型事業所で社会保険に加入している場合、体調不良や障害の再発などで休業した際、傷病手当金の対象となります。これは、安定就労を目指す上で非常に大きなセーフティネットとなり、経済的な自立に繋がります。

短期的なデメリット(費用負担)

  • ご家族の税負担増: 103万円を超えると、ご家族が扶養控除を受けられなくなり、世帯全体の手取りが一時的に減少します。
  • ご自身の保険料負担: 130万円を超えると、ご自身で社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)が給与から天引きされます。

4. まとめ:目標に応じた計画的な働き方を

A型事業所での給与と扶養の壁の関係は、ご家族とご本人の経済的な状況によって最適な選択が異なります。

収入目標 メリット・デメリット
103万円未満 ご家族の税負担なし。ご自身の保険料負担なし。
103万円〜130万円未満 ご家族の税負担増。ご自身の保険料負担はなし。世帯全体の手取りは増える。
130万円以上 ご自身の社会保険料負担が発生。しかし、将来の年金や傷病手当金という大きな保障が得られる。

A型事業所の給与で働くことは、自立と生活の安定に繋がります。ご自身のキャリアプランや体調を考慮し、社会保険という安心を確保するか、税・保険料の負担を避けるか、ご家族とよく話し合いながら、目標に合わせた働き方を選択しましょう。

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