失業手当を受け取れる期間と金額の目安

2026.08.11

就労継続支援A型事業所(A型)を退職し、再就職を目指す方が受け取れるのが、雇用保険の「基本手当」(いわゆる失業手当)です。この基本手当は、雇用契約に基づき働いていた期間の生活を支える大切なセーフティネットですが、受給できる期間や金額は、離職理由や雇用保険の加入期間、退職時の年齢、そして障害の有無などによって細かく定められています。

「失業手当はどれくらいの期間もらえるの?」「金額はどのように計算されるのだろう?」

このコラムでは、A型事業所を退職した方が知っておくべき基本手当の受給期間と金額の目安について、最新の福祉就労の動向を踏まえて解説します。

1. 基本手当(失業手当)を受け取れる期間の目安

基本手当を受け取れる期間(所定給付日数)は、原則として雇用保険の加入期間と離職時の年齢、および離職理由によって決定されます。

① A型事業所利用者は「就職困難者」に該当する可能性が高い

A型事業所の利用者様は、障害者手帳(身体・知的・精神)の所持や、医師の診断書などにより、ハローワークから「就職困難者」と認められる可能性が非常に高いです。

就職困難者に認定されると、一般的な離職者や特定の理由による離職者(特定理由離職者)と比べて、受給期間(所定給付日数)が大幅に手厚く優遇されます。また、自己都合退職であっても数ヶ月間の給付制限期間が適用されず、7日間の待期期間の後、スムーズに受給が開始されるメリットがあります。

② 就職困難者の所定給付日数(期間)の目安

以下は、ハローワークで就職困難者として認められた場合の給付日数の表です。

雇用保険の加入期間(被保険者期間) 45歳未満 45歳以上65歳未満
1年未満 150日 150日
1年以上 300日 360日

重要な受給要件の緩和

通常の自己都合退職では、離職前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上あることが条件ですが、漏れなく就職困難者の要件を満たす場合は「離職前1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上」あれば受給資格を得ることができます。これにより、比較的短い在籍期間であっても国のセーフティネットを受けやすくなっています。

2. 基本手当(失業手当)の金額の目安

基本手当の1日あたりの支給額(基本手当日額)は、離職前の6ヶ月間に支払われた毎月の給与(賞与などを除く額面給与)を基に計算されます。

① 計算のステップ

賃金日額の算出: 離職前6ヶ月間の給与総額を180日で割って、1日あたりの平均賃金(賃金日額)を出します。
基本手当日額の決定: 算出した賃金日額に、一律ではない一定の給付率(約50%〜80%)をかけて基本手当日額を決定します。この給付率は、賃金日額が低いほど高く設定される仕組みになっています。

$$\text{基本手当日額} = \text{賃金日額} \times \text{給付率}$$

② A型事業所の給与と給付率の特徴

A型事業所の給与は、個々の体調に合わせた短時間勤務が基本となるため、一般企業のフルタイム給与に比べて賃金日額が低くなる傾向があります。しかし、前述の通り「賃金日額が低いほど給付率が高くなる」という国の方針があるため、A型事業所の給与水準であれば、最大の給付率である80%に近い割合で手当が計算されるケースがほとんどです。

そのため、退職前の実質的な日給に近い高い割合で手当を受け取ることが可能であり、経済的な不安を最小限に抑えながら次のステップ(一般就労など)に向けた準備に専念できます。

3. 基本手当の受給手続きの流れ

基本手当を受給するためには、退職後にハローワークで適切な求職申込みと手続きを行う必要があります。

離職票の受け取り: 退職後、ディヤーナ松本などのA型事業所から「雇用保険被保険者離職票」が発行されます(退職後10日〜2週間程度で手元に届きます)。
ハローワークでの申請: 住民票がある地域を管轄するハローワークへ行き、離職票、障害者手帳(お持ちの方)、マイナンバーカードなどを持参して求職の申し込みを行います。ここで「就職困難者」としての受給資格決定を受けます。
待期期間: 申請手続き完了後、一律で7日間の「待期期間」があります。
失業の認定と給付開始: 4週間に1回設定される「失業認定日」にハローワークへ行き、適切な求職活動実績を示して失業状態であることの認定を受けることで、順次指定口座へ基本手当が振り込まれます。

4. まとめ:基本手当は「次のステップへの備え」

就労継続支援A型事業所で雇用契約を結び、日々の業務に励んでいた期間は、あなたを支える雇用保険の受給資格という確かな権利に繋がっています。

失業手当(基本手当)は、単なる手当ではなく、焦らずに自分に合った一般就労先を見つけるための経済的・精神的なセーフティネットです。退職や一般就労へのステップアップを具体的に検討する際は、事業所の職員に離職票の発行について相談し、ハローワークの専門窓口を上手に活用しながら手続きを計画的に進めましょう。

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