一般就労後の「定着支援」はいつまで受けられる?
はじめに就労継続支援A型事業所(A型)での勤務を経て、目標であった一般就労へ移行した後、多くの方が直面するのが「定着の壁」です。新しい環境でのストレスや、これまで受けていた手厚いサポートの喪失感から、体調を崩してしまうリスクもあります。こうした不安を解消し、長期的な安定就労を実現するために用意されているのが、障害福祉サービスの一つである「就労定着支援」です。
「定着支援はいつまで利用できるの?」「どんなサポートをしてもらえるの?」
このコラムでは、一般就労後の就労定着支援の利用期間(期限)と、その具体的なサポート内容を解説します。A型事業所をご利用の方が安心して次のステップへ進み、雇用契約を継続するための知識を提供します。
目次
1. 就労定着支援とは?A型事業所との関係
就労定着支援は、障害のある方が一般就労へ移行した後、職場に慣れ、働き続けることを目的としたサポートサービスです。
サービスの対象と提供主体
- 対象者: 就労移行支援、就労継続支援A型・B型、生活介護などを利用後に一般企業へ就職した方。
- 提供主体: 主に、就労移行支援事業所や就労定着支援事業所として自治体の指定を受けている事業所がサービスを提供します。A型事業所(ディヤーナ松本など)も、就労移行支援事業所を併設している場合、定着支援を提供することが可能です。
なぜ定着支援が必要か
一般就労では、A型事業所のように手厚い合理的配慮が自動的に提供されるとは限りません。定着支援は、利用者が企業と福祉サービスの間に立ち、「体調の波」と「職場の要求」を調整し、雇用契約を維持するためのサポートを行います。
2. 定着支援の利用期間:法的な上限は「原則3年間」
就労定着支援サービスには、利用期間の上限が定められています。
利用期間は「原則3年間」
就労定着支援が利用できる期間は、一般就労に移行した日から起算して最長で3年間です(法改正により2025年からは5年間に延長される見込みですが、現状は3年が原則です)。この3年間は、利用者が職場の環境や業務に慣れ、自立して働き続けられるようになるための助走期間と位置づけられています。
3年間のうちの「必要な期間」
ただし、利用者が「もう支援は必要ない」と判断した場合や、支援事業所が「安定した定着が達成された」と判断した場合は、3年経たずに終了することも可能です。支援の必要性がなくなった段階で、サービスは終了となります。
3. 3年間のカウント方法とサービスの流れ
定着支援は、就職後すぐに始まるわけではありません。段階的なサポートが提供されます。
① サービス利用の開始時期
定着支援のサービス自体は、就職後6ヶ月間の間に、それまで利用していた福祉サービス(A型事業所など)から「就労定着支援」に切り替えることで開始されます。
- 最初の6ヶ月間: 就職後、それまで利用していたA型事業所などが、職場訪問や相談といった「定着に向けた支援」を提供します(この期間は定着支援の算定期間外)。
- 7ヶ月目以降(定着支援開始): 自治体への申請を経て、本格的な就労定着支援サービスが開始されます。ここから最長3年間のカウントがスタートします。
② 支援期間中の具体的な相談頻度
定着支援では、月に1回以上の頻度で、職場訪問、面談、電話などによる状況確認と相談が行われます。この頻度は、利用者の状況やニーズに応じて調整されます。
4. 定着支援で得られる3つの具体的なサポート
定着支援では、働く中で生じる様々な課題に対して、実用的なサポートが提供されます。
① 職場への「合理的配慮」の調整
体調の変化や業務の負荷が増加した際、利用者本人に代わって企業の人事や上司に対し、業務量の調整、休憩時間の確保、コミュニケーション方法の変更といった合理的配慮を提案・調整します。これは、職場に福祉的な理解を促す上で非常に重要です。
② ストレスや体調管理に関する相談
仕事の悩みやストレス、服薬状況の管理などについて、支援の専門家に相談できます。支援員は、ストレスが原因で体調を崩す前に予兆を察知し、早期に休息を取るよう促すなど、再発予防を目的とした助言を行います。
③ 私生活・家計に関する課題解決
安定就労を続けるためには、職場だけでなく私生活の安定も不可欠です。定着支援では、家計管理、年金・税金に関する情報提供、地域資源(医療機関や相談窓口)との連携など、生活全般の課題解決をサポートします。
5. 定着支援を最大限に活用するためのポイント
定着支援を効果的に利用するために、以下のポイントを意識しましょう。
- 早期に相談すること: 職場で「少しおかしいな」「辛いな」と感じたとき、悪化する前に定着支援の担当者に相談しましょう。
- 「卒業」を意識すること: 3年間の期限があるサービスであることを意識し、「3年後には支援なしで働ける自分」を目標に、自己管理能力を高める努力を続けましょう。
- 企業と支援員を繋げること: 企業側が定着支援の存在を知り、何かあったときに支援員へすぐに連絡できる体制を構築しておくことが、安定就労の鍵となります。
6. Q&A:定着支援に関するよくある質問
- Q1. 定着支援の費用はかかりますか?
- A. 原則として利用者様の自己負担はありません(サービス費の1割負担が発生する場合がありますが、多くの場合、障害福祉サービスの自己負担上限額が適用され無料となります)。
- Q2. 3年間の期限が切れた後、支援は受けられませんか?
- A. 公的な支援は終了しますが、企業の産業医や衛生管理者、地域の障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)など、別の支援機関に相談することは引き続き可能です。
- Q3. 途中で転職した場合、期間はリセットされますか?
- A. いいえ、リセットされません。定着支援の期間は、「最初の一般就労日」から最長3年間という期限で設定されます。転職しても、その期限内で残りの期間を利用することになります。
7. まとめ:長期的な安定就労を目指して
就労定着支援は、一般就労を達成した後に、その雇用契約を長期的に維持するための「セーフティネット」です。原則3年間という期間は、新しい職場で自信を持ち、自立して働き続けるための十分な助走期間となります。
A型事業所をご利用の方は、一般就労を目指す際に、この定着支援を組み合わせることで、「働く意欲」を「長期的な安定」へと確実に繋げることができます。就労定着支援の利用に関する具体的な手続きやご相談は、A型事業所の職員にお気軽にお問い合わせください。

