就労継続支援A型事業所(A型)での勤務を経て一般就労を目指す際、「ポートフォリオ」はあなたのスキルと実績を企業に視覚的に伝える最強のツールとなります。特にディヤーナ松本で行うTシャツ制作業務は、単なる軽作業ではなく、企画力、デザイン処理能力、品質管理(QC)といった汎用性の高いスキルを証明するための具体的な「作品」として活用できます。
「Tシャツ制作の経験を、どうやってポートフォリオにまとめるの?」「どんなスキルをアピールすべき?」
このコラムでは、Tシャツ制作業務を最大限に活用し、一般就労に向けた説得力のあるポートフォリオを作成するための具体的な戦略を解説します。
1. ポートフォリオでTシャツ制作を「作品」として見せる戦略
ポートフォリオは、単なる思い出の記録ではなく、「私はこの企業にこのような形で貢献できる」という実務能力を客観的に証明するためのものです。Tシャツ制作の経験は、目に見える視覚的な成果物があるため、採用担当者の目を引く上で特に有効に機能します。
① スキルとプロセスの「見える化」
Tシャツ制作の経験を、単に「服を作った」で終わらせず、「最終製品のクオリティ」と「そこに至る論理的な制作過程」の両面からアピールします。
| 制作プロセス | ポートフォリオでのアピールポイント | 一般就労での転用スキル |
|---|---|---|
| 企画・データ処理 | DTFプリントに必要なデザインデータの色調整、サイズ修正、配置の最適化を正確に行った実績。 | PCスキル(IllustratorやPhotoshopの基礎)、データの正確性、論理的思考力。 |
| 品質管理(QC) | 印刷後の検品プロセス(色ムラ、位置ズレ、インクカスレ等の微細なチェック)をマニュアルに沿って責任を持って担当。 | 細部へのこだわり、作業マニュアルの遵守、検品力(事務・製造業共通の強み)。 |
| 最終成果物 | 実際に制作し、検品をクリアした高品質なTシャツの写真(着用イメージや細部のアップ写真)。 | 成果を形にする完遂力、納品クオリティの維持。 |
② チーム貢献と責任感の強調
障害者雇用の法定雇用率引き上げにともない、企業側は「周囲と調和して長く働けるか」を重視しています。Tシャツ制作は複数の工程をチームで行うため、「チームで協働して成果を出した実績」もポートフォリオにしっかりと盛り込みましょう。
【記載例】
「制作チームの一員として、全体の納期厳守を意識して行動しました。自身の担当工程(熱プレス作業など)において設定された標準時間を常に遵守し、前後の工程と適切な『報連相』を行うことで、チーム全体の生産性向上とスムーズな進行に貢献しました。」
2. Tシャツ制作経験を裏付ける「実務スキル」の証明
ポートフォリオには、単に作品の写真を並べるだけでなく、A型事業所での実際の雇用契約に基づいて習得した、具体的なバックオフィスの実務スキルや自己管理能力をセットで記載します。
① デジタルツールの習熟度
DTFプリンター操作と管理: 専門機器の日常的なメンテナンス手順や、簡単なトラブルシューティング(エラーコードに応じたマニュアル対応など)の経験を記載します。これは「指示がなくても手順通りに機器や資材を管理できる能力」の証明になります。
Excel等の活用実績: Tシャツ制作に付随する注文データの管理、発送リストの作成、資材の在庫集計などをExcelで行った経験を記述します。VLOOKUP関数やXLOOKUP関数といった実務で多用される関数を使用できることや、MOS資格を保持している場合はその証明を添えることで、一般事務職への即戦力性を強くアピールできます。
② 合理的配慮と自己管理能力
合理的配慮の義務化が定着した現代の障害者雇用において、企業は「本人による自己管理」をベースにした配慮のすり合わせを求めています。
アピール方法: Tシャツ制作のような複数工程が絡む複雑な業務をミスなく安定して遂行するために、自身でどのような工夫をしたかを記載します。「作業中の聴覚刺激による疲労を防ぐため、合理的配慮としてノイズキャンセリングヘッドホンを活用した」「作業手順の視覚化のためにチェックリストを自発的に使用し、セルフチェックをルーティン化した」など、合理的配慮を『安定した成果を出すための手段』として自立的に活用している事実を記載することが、採用担当者への最大の安心感に繋がります。
3. ポートフォリオ作成の具体的なステップ
自己満足の資料にならないよう、ディヤーナ松本の職員としっかりと連携し、以下の客観的なステップに沿って作成を進めましょう。
素材の収集: 自分が関わって制作したTシャツの高品質で清潔感のある写真、制作過程や検品で使用したチェックリストのサンプル、もしあれば業務効率化のために提案した資料などを丁寧にファイリングします。
構成の決定: 一般企業の採用担当者がスクロールやページめくりをしやすいよう、以下の標準的な流れで構成します。
1. 自己紹介とこれまでの安定就労の実績(出勤率など)
2. 保有スキルの証明(DTF操作・PCスキル・資格など)
3. 実務事例(制作したTシャツの写真と担当したプロセスの解説)
4. 一般就労に向けた今後の目標と、企業に希望する合理的配慮の言語化
職員による添削: 職業指導員やサービス管理責任者(サビ管)に内容を細かく添削してもらい、企業の採用基準に照らし合わせて客観的に説得力のあるビジネス表現になっているか、誤字脱字がないかを最終確認します。
4. まとめ:Tシャツ制作は「創造的な職務経歴」
就労継続支援A型事業所でのTシャツ制作業務は、日々の雇用契約と毎月の給与を支えるための作業にとどまりません。一般就労への転職活動において、あなたの能力を最大限に証明するための「創造的な職務経歴」であり、最高の自己投資資産です。
書類選考や面接の場でポートフォリオを上手に活用し、デザインデータ処理、徹底した品質管理、円滑なチーム連携といった多様な実務スキルを視覚的に証明することで、一般就労という次の目標へのステップアップを確実なものにしていきましょう。

